国民医療費が毎年増大するなか、医療費の抑制につながると期待されているのが「ジェネリック医薬品」。新薬からジェネリック医薬品に変更することで、みなさんの家計にもやさしく、さらに医療費の節減にも大きな効果が期待できます。ジェネリック医薬品のメリットを正しく理解し、医療費の節減にご活用いただけるよう、ぜひ、ご一読ください。
テレビCMなどでもおなじみの「ジェネリック医薬品」。ジェネリック医薬品とは後発医薬品とも呼ばれ、新薬の独占的販売期間(特許期間・原則20~25年間)が終了したあとに発売される医薬品のことです。新薬と同じ有効成分ですが、開発費が抑えられるため、低価格で提供することができます。
新薬からジェネリック医薬品に変えると、窓口で支払う薬代を安くできます。かぜなど短期間しか服用しない薬ではさほど変わりませんが、脂質異常症や高血圧症、糖尿病といった慢性的な病気で、長期にわたり薬を服用する人の場合は、大きく薬代を減らすことができます。
コラム
現在治療中の方で、ジェネリック医薬品に変更されていない場合は、医師に尋ねてみましょう。なかなか言いにくいかもしれませんが、「私もジェネリック医薬品を使えますか?」の一言で薬代が大幅に安くすむかもしれません。厚生労働省の働きかけもあり、ジェネリック医薬品の活用に積極的に取り組む医療機関が増えています。あまり難しく考えずに、気楽に尋ねてみましょう。
従来の処方せんには「後発医薬品への変更がすべて不可の場合の署名」欄があり、複数の薬が処方されていて1つでも変更できない場合に医師の署名等があると、すべての薬がジェネリック医薬品に変更できませんでした。これが、2012年4月から薬ごとに変更の可否が示される様式に変わったため、よりジェネリック医薬品に変更しやすくなりました。
ただし、まだジェネリック医薬品のない新薬もあります。現在治療中で、院外処方の調剤薬局で薬を受け取っている方は、ジェネリック医薬品に変えられるものがあるかどうかを薬剤師に調べてもらうとよいでしょう。
医師は、病状が安定しているときは、それまで使っている新薬の方が効果があり、そのまま使ったほうがよいと考え、ジェネリック医薬品に変えることに慎重になる場合もあります。
そういうときは、処方せんの「変更不可」欄にチェック、または×を記入し、変更しないように薬剤師に指示します。そのような記入のない薬については、患者の意思でジェネリック医薬品に変更することができます。
「お試し切り替え」もできます
いきなりジェネリック医薬品に切り替えるのは心配という人には、処方された日数を分割することができます。たとえば4週間分の薬のうち、まず1週間分だけ調剤してもらい、服用して問題がなければ残りの3週間分を調剤してもらうことができます(分割調剤)。なお、この分割調剤をした場合には、薬局に「後発医薬品分割調剤料」を支払うことになっています。詳しくは薬剤師にご相談ください。医療機関で受診する際や薬局で処方してもらう際に、健康保険証にこのシールを貼っておくと、ジェネリック医薬品を処方してほしいという意思を簡単に伝えられます。